秋の肌トラブルに注意！乾燥によるアトピー悪化とスキンケアのポイント

秋は空気が乾燥し、肌へのダメージが増える季節です。特に肌が乾燥しやすいお子様には気温の低下と湿度の変化は症状を悪化させる要因となります。

今回は、秋に起こりがちなアトピーの悪化とその対策について、スキンケアのポイントを解説します。

秋の乾燥が肌に与える影響

皮膚の表面は皮脂膜という保護膜で覆われています。
肌の水分を守ったり、雑菌の繁殖を抑えたり、外部からの刺激をやわらげる役割を持っています。外界から身を守るバリアと考えてください。出生して数ヶ月から思春期に入るまで、皮脂膜の厚さが約1/3ほどになると言われています。

また、秋は季節の変わり目で、湿度が急に低下します。肌の水分が蒸発しやすくなり、バリア機能が低下しがちです。湿疹や肌荒れもこのバリア機能をさらに壊してしまいます。

入浴時の洗浄と保湿でバリア機能をサポート

この皮脂膜のバリア機能は、おうちのケアで回復させることができます。入浴中にしっかりと洗浄し、できるだけ早く保湿剤を塗りましょう。処方薬ではヒルドイドやヘパリン類似物質が有名ですが、市販の乳液タイプのローションでも効果があります。

またこのケアだけで改善がない場合には、皮脂膜の下層の表皮の乾燥もあるため、セラミドなどの成分が入ったローションを併用すると良いでしょう。

保湿だけで皮膚の乾燥や赤みが改善しない場合

アトピー性皮膚炎の体質がある場合、保湿だけでは炎症がとりきれないことも多々あります。同じ場所が繰り返し赤くなる、痒がるなどの場合はステロイドや免疫抑制剤などの塗り薬が必要になることもあるでしょう。

医師から塗り薬が処方される際には、しっかり塗り方を確認しましょう。特にステロイドは副作用が有名なので、避けたいと思われる方もいらっしゃると思いますが、今は副作用を避ける使用方法が確立しています。炎症をしっかり取るためにはしっかりと分厚く塗るのがポイントです。

また、一旦治った後に繰り返す場合には、定期的にステロイドを使用して皮膚のあれを防ぐ方法もありますので、医師に相談しましょう。

肌を綺麗に保つメリットとは？

ツルツルの綺麗なお肌は見た目だけでなく、乳児の食物アレルギーを抑制したり、皮膚感染症の予防になったりとたくさんのメリットがあります。

ここでは乳児の食物アレルギーの抑制について触れます。

冒頭に、乾燥、湿疹や肌荒れにより皮膚のバリア機能が破綻してしまうことを紹介しました。このバリア機能が破綻した場所から、アレルギーの原因物質が入ると、この異物を追い出したり戦おうとする反応(アレルギー反応：蕁麻疹などが有名）が起こります。

特にまだ離乳食を開始していない乳児の場合、色々な原因物質が肌から侵入してしまうと、それらを敵と認識してしまい抗体を作ります。

抗体ができてしまった食材を摂取した場合に、食物アレルギーとなって蕁麻疹などの症状が出現します。

秋〜冬場に出生した赤ちゃんはこのバリア機能が破綻しやすく、食物アレルギー発症のリスクも高いと言われています。

またアレルギー体質のお子さんは、成長とともに様々なアレルギー疾患を発症することがあり、それをアレルギーマーチといいます。

特にこの皮膚バリア機能の影響は大きいと考えられており、湿疹を乳児期に治療することはとても大切なことと考えています。

乾燥する季節こそ、日々のスキンケアで肌を守り、健康な状態を保ちましょう。
お子さまやご家族の皮膚のことで、何かご不安なことがあればいつでもご相談ください。

日本赤十字社医療センター 小児科専門医
みてねコールドクター小児医療アドバイザー
風間 尚子先生

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