2025.04.17
ドクター通信

【小児科医が解説】最近増えている「百日咳」とは?

小児科専門医 みてねコールドクター小児医療アドバイザー 風間尚子先生が解説

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百日咳はその名の通り長引く咳を特徴とする感染症です。最近、百日咳の報告が増えているとニュースなどで耳にする機会も多く、「うちの子もかかるのでは?」と心配される保護者の方も多いかもしれません。この記事では、百日咳の特徴や予防法について、わかりやすくまとめました。
  
  
百日咳の特徴
百日咳は「ボルデテラ・パータシス」という細菌が原因の呼吸器感染症で、名前の通り咳が数週間から数か月続くのが最大の特徴です。熱が出ないことも多く初めは軽い風邪のような症状(鼻水、咳)ですが、徐々に咳が激しくなり、
・短く連続する咳
・咳の後に「ヒュー」という音を立てて息を吸い込む
・痰を吐くと一旦落ち着く

といった発作を繰り返すようになります。夜間に咳き込みが悪化することも多いです。
  
  
乳児は特に注意!
6か月未満の赤ちゃんが百日咳にかかると、ごくまれに重症化することがあります。白血球が異常に増えて血液がドロドロになり、肺の毛細血管が詰まりやすくなるため、重度の呼吸障害を引き起こすことがあります。呼吸困難から肺炎や脳症を合併したり、命に関わることも。乳児では、「スタッカート」と呼ばれる鋭く速い咳や、無呼吸発作(数秒〜数十秒呼吸を止める)が出ることもあり、見逃しに注意が必要です。

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なぜ今流行?
四種・五種混合ワクチン(DPT-IPV・DPT-IPV-Hib)で予防可能な百日咳ですが、抗体の持続期間は4〜12年とされており、成長とともに抗体価が下がると、再び感染・発症することがあります。大人や年長児では軽症で済むことが多いものの、咳が続いても風邪と思い込み、抗体のない赤ちゃんにうつしてしまうこともあります。家族や保育施設などでの感染拡大を防ぐため、大人の咳にも注意が必要です。
  
  
感染経路と予防法
百日咳は飛沫感染と接触感染で広がります。感染者の咳やくしゃみによる飛沫、あるいは手指や物の接触を通じて鼻や喉に菌が入り込み、感染を引き起こします。
  
【予防法】
・乳幼児期の定期予防接種(生後2ヶ月から開始)
・マスクの着用
・手洗い・うがいの徹底
  
特に小さな赤ちゃんと同居しているご家庭では、軽い症状でも感染対策が大事ですね!

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診断と治療について
百日咳は「五類感染症」に分類されており、診断された場合は医師から保健所へ届出が行われます。診断に使われるのは主にLAMP法(ランプ法)という簡便な遺伝子検査ですが結果に数日かかります。PCRではすぐに結果が出ますが、検査ができる施設が限られています。また百日咳を疑って検査する場合、重症であったりすでに経過が長い可能性もあり、実際には報告よりも罹患者は多いものと思います。
治療は、早期であればマクロライド系の抗菌薬(エリスロマイシンなど)が有効ですが、最近は耐性菌も報告されているため、医師と相談しながら慎重に治療を進める必要があります。
  
  
長引く咳があるときは、自己判断せず早めの受診を!
百日咳はワクチンが普及しているため、重症者は稀ですが長引く咳の受診は増えている印象です。軽症の場合には一般的なかぜとして扱うことも多いです。一方で乳児の場合は、特徴的な咳や無呼吸がある場合は百日咳の可能性も高く、また重症化する可能性もあることからそのような症状があるような場合には受診して相談しましょう。

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・知っておきたい手洗いの重要性
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・感染症トレンド3月第5週「伝染性紅斑(りんご病)が引き続き流行中。百日咳の患者数も増加」
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