
ヘルパンギーナや手足口病など、気をつけたい子どもの夏風邪について
日本赤十字社医療センター小児科専門医 風間先生が解説
家族に寄り添うかけつけ医アプリ “みてねコールドクター”を提供する株式会社コールドクター(東京都渋谷区、代表取締役社長:合田武広、以下コールドクター)は、子育てに奮闘するすべての親御さまに向け、様々なお役立ち情報をお届けしています。
夏の三大感染症であるヘルパンギーナ、手足口病、アデノウイルス(プール熱、咽頭結膜熱)。これらは梅雨から夏にかけて子どもがかかりやすい夏風邪です。
今年は特にヘルパンギーナが猛威を振るい、過去10年で最多の患者数*となりました。ピークアウトした地域も見られますが、ワンシーズンに何度もかかる可能性も。症状の重篤化や合併症のリスクもあるため、正しい知識を持ち、適切な対処法を取ることが重要です。今回は、夏風邪の症状や気をつけたい点について説明します。
出典:国立感染症研究所ホームページhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html
ヘルパンギーナとは
夏風邪の代表的疾患であるヘルパンギーナは、主にコクサッキーウイルスA群、まれにエンテロウイルスによって引き起こされる感染症です。6月から初夏にかけて、子ども同士の生活距離が近く、濃厚接触しやすい環境で流行する傾向にありますが、今年は大きな流行となっています。水ほう(水ぶくれ)を意味する「ヘルペス」と「痛み」を意味する「アンギーナ」という言葉があわさったのが病名の由来です。
手足口病とは
その名の通り、手、足、口に水疱ができる病気です。
流行りやすいのは4歳くらいまでですが、小学校でも流行することがあります。ヘルパンギーナと同じタイプのウイルスが原因です。
アデノウイルス(プール熱、咽頭結膜熱)とは」
アデノウイルスは多様な型があり、感染する体の場所により様々な症状を引き起こします。プールで感染しやすいことからプール熱(咽頭結膜熱)とよく呼ばれていますが、プール以外でも感染することが多くあります。また、夏に多いウイルス性の感染症ですが、1年中かかるおそれがあります。子どもに多い感染症で、発病すると通学や通園が禁止となる学校感染症に当たります。
どんな症状が出るの?
子どもが感染したら?
ヘルパンギーナ、手足口病に対する特効薬はありません。症状を和らげるための対症療法を行い、1週間程度で自然に治癒するのを待ちましょう。
症状が軽度な場合は休息と適切な水分摂取が重要で、少し冷たい飲み物や食べ物がのどの痛みを和らげることがあります。反対に、オレンジジュースなどの酸味が強いものや飲み込みづらいものは避け、口の中にできた腫瘍や発熱に対しては解熱鎮痛剤を使用することがあります。
アデノウイルスについても同じく特効薬はなく、対症療法を行います。発熱は5日ほど続くことがあるため、脱水を起こさないよう、経口補水液などによる水分補給や、高熱で不快感が続くようであれば解熱剤を使用します。目の症状が酷いときは眼科を受診し、「抗菌薬」や「ステロイド薬」、「抗ヒスタミン薬」の点眼薬を使用し対処します。感染した子どもの目やにや涙を拭き取るときは、ティッシュペーパーや清浄綿を使い、手で直接目に触れないように気をつけましょう。
気をつけたいことは?
ヘルパンギーナ、手足口病では、のどの強い痛みによって飲食ができなくなり、脱水症状を引き起こしてしまい、入院をするケースもあります。
アデノウイルスでは、のどの腫れ(扁桃炎)や痛み、炎症(咽頭炎)などを引き起こし、重症化した場合には気管支炎や肺炎などにつながるケースもあります。
その他にも、高熱に伴う熱性けいれんや、まれに脳炎・脳症(意識障害)を合併することもあるため、注意が必要です。
けいれんだけでなく、ぐったりして顔色が悪い、ぼんやりしている、何度も嘔吐している、尿が半日以上出ていない、といった症状があれば、急いで受診してください。
家庭での感染を防ぐには?
これらの夏風邪はウイルスが付着した手を介して広がる接触感染、咳やくしゃみで飛散したウイルスを含む飛沫で感染する飛沫感染、ウイルスが手や指を介して口に入る経口感染があります。以下のような予防策を行い、感染を広げないようにしましょう。
●こまめにせっけんと流水による手洗いをする
● タオルや食器を共用にしない
● 人混みや医療機関などではマスクを着用する(涼しさが保たれている場合)
● 便にウイルスが含まれているので、おむつ交換をするときには使い捨ての手袋を使用し、おむつを交換した後は手洗いと手指の消毒をする
登園・登校はいつから大丈夫?
ヘルパンギーナ、手足口病については、熱が下がって飲食が十分にできるようになれば登園・登校は可能です。
アデノウイルス(結膜炎を伴う場合)については、学校保健法で治癒後の登園・登校の時期が規定されています。発熱などの主な症状が治癒した後、2日たてば登園・登校が可能です。
園や学校により、登園・登校の独自のルールや、登園許可証や登園届についてのガイドラインがありますので、確認しましょう。
日本赤十字社医療センター小児科専門医 風間先生
今年のヘルパンギーナの傾向として、症状として代表的な「明らかな水ほう」が観察されない例が増加しています。また、今の時期は熱中症や新型コロナウイルスなどと区別が難しいケースもあります。「熱が続いているけどこれって夏風邪?熱中症?」と悩む場合はまずはご相談ください。
これらの夏風邪は大人にもうつる可能性がありますので、家庭内感染にも気をつけましょう。
監修医師 風間先生のご紹介
みてねコールドクター所属 小児科専門医 風間尚子
東邦大学医学部卒業。
神奈川県立こども医療センターを経て、日本赤十字社医療センター小児科勤務。
AHA PALS(小児二次救命処置)インストラクター資格保持。
子どもも、親も、救いたい。
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