【小児科医が解説】健康診断って何をみているの？ 春の健診で気になるポイントをご紹介

小児科専門医 みてねコールドクター小児医療アドバイザー 風間尚子先生が解説

新年度が始まり、園や学校では春の健康診断が行われています。お子様の健康状態をチェックする健診ですが、具体的に何が行われるのか、どのような点に着目すべきなのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は春の健康診断について、実際に学校医として健診を担当している小児科医が詳しく解説します。
　　
　　
そもそも健康診断とは？
健康診断とは、病気を確定するためのものではなく、「スクリーニング検査（ふるい分け）」としての役割を担っています。日々の生活では気づきにくい変化を早めに見つけ、必要に応じて医療機関での精査や対応につなげることが目的です。
健診は、年齢や施設の種類に応じて「児童福祉法」や「学校保健安全法」などの法律に基づき、すべてのお子様に対して毎年定期的に行われることが義務づけられています。
　　
　　
健診でチェックする主な項目
■身長・体重の測定
成長の様子を確認します。必要があれば成長ホルモンなどのホルモン分泌の異常がないかなどを疑い医療機関への受診を促します。
　　
　　
■視力・聴力検査（年齢・発達に応じて）
普段の生活では気づきにくい「見えにくさ」「聞こえにくさ」を確認します。
特に小学生においては、視力は本人が自覚していないことが多く、黒板の文字が見えにくい、授業に集中しづらいなど学習への影響が出ることがあります。健診で視力の低下が疑われた場合には、眼科での精密検査やメガネの作成が必要となることもあります。聴力についても、学習や集団生活への支障を防ぐために、早期発見・対応が大切です。
　　
　　
■歯科健診
むし歯、歯肉炎、噛み合わせ、生え変わりなどを確認します。初期の異常は痛みを伴わないことも多く、早期発見が大切です。
　　
　　
■尿検査（小学生以上）
腎臓や代謝に関わる病気の早期発見を目的としています。普段の生活では症状が出にくい場合でも、検査で異常のサインが見つかることがあります。
具体的には、たんぱく尿や血尿、尿糖などを調べます。これらは、腎臓の機能の異常（特にIgA腎症）や体の代謝の異常（糖尿病）を示す可能性があり、必要に応じて再検査や医療機関での精密検査が勧められます。
　　
　　
■心電図検査
小学生以上の特定の学年で行われます。心臓疾患や不整脈の疑いを検出することができます。
　　
　　
■内科健診（身体診察）
・背骨のゆがみ（側弯症）：事前に問診票をお配りして姿勢のチェックを行うことが多いです。普段からの姿勢も影響しますので姿勢が気になる方はストレッチなどもお勧めです。
　
・心音・呼吸音の異常：肺の音、心臓の音を聞きます。稀に心臓の雑音が聞こえることもあり、心電図の結果などと合わせて検査を勧める場合もあります。
　
・甲状腺の腫れ：甲状腺ホルモンの異常と関連することがありチェックを行います。
　
・皮膚の状態：全身の皮膚を確認し、湿疹やかぶれなどのトラブルがないかをチェックします。特にアトピー性皮膚炎は慢性的なかゆみや肌荒れが学習や生活に影響を与えることもあり、受診を促すことがあります。
　　
・全身状態や発達の様子：検診では発達の段階を細かく評価することは行いませんが、年齢に照らして明らかに気になる様子（発語や運動発達、受け答えなど）があれば、総合的に判断して医療機関への相談を促します。
　　
　　
健診の結果
健診の結果は、ご家庭に通知されます。所見があった場合も、必ずしも病気というわけではありませんが、念のため医療機関での再確認や受診をお勧めいたします。
また、園や学校では、必要に応じて保健指導や健康相談を行い、生活習慣や発達面のサポートを行っています。
　　
　　
小児科医からのアドバイス
健康診断は、病気を見つけるだけではなく、子どもたちの成長を支える第一歩です。健診に限らず、お子さまの体調や発達、気になることがある場合には、事前に園や学校へご相談・共有いただくことがとても大切です。ご家庭と園・学校が協力し合いながら、お子さま一人ひとりの健やかな毎日を支えていけたらと願っています。

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