避難所で今すぐできる、子どもの熱中症を防ぐ10の工夫

令和8年7月28日に発生した熊本地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
暑さが厳しい時期の避難生活では、熱中症への注意が欠かせません。特に乳幼児や小さな子どもは、体温を調節する機能が未熟で、自分から「暑い」「のどが渇いた」と十分に伝えられないことがあります。
避難所では、冷房や扇風機、氷、保冷剤などを自由に使えない場合もあります。そこで今回は、限られた環境でも、身近にあるものを使って今すぐできる熱中症対策をまとめました。
Contents
1.避難所の中でも、より涼しい場所を探す
同じ避難所の中でも、場所によって暑さは異なります。
直射日光が当たる窓際、人が密集している場所、風が通らない場所は、熱がこもりやすくなります。可能であれば、次のような場所へ移動しましょう。
- 日差しが直接当たらない場所
- 出入り口や窓の近くなど、風が通る場所
- 冷房や扇風機の風が届く場所
- 人の密集が比較的少ない場所
乳幼児や体調の悪い子どもがいる場合は、遠慮せず避難所のスタッフに相談してください。冷房のある部屋や、比較的涼しいスペースを案内してもらえることがあります。
2.「のどが渇いた」と言う前に、少しずつ飲ませる
子どもは遊びや慣れない環境に気を取られ、水分補給を忘れてしまうことがあります。また、乳幼児はのどの渇きを言葉で伝えられません。
一度にたくさん飲ませるのではなく、時間を決めて、少量ずつこまめに飲ませましょう。
日常的な予防では、水や麦茶などを少量ずつこまめに飲ませます。大量に汗をかいた場合や脱水が疑われる場合は、経口補水液などの利用を検討してください。
授乳中の赤ちゃんは、普段どおり母乳やミルクを続けることが基本です。飲みが悪い、吐いてしまう、ぐったりしている場合は、早めに医療スタッフへ相談してください。
3.時間を決めて、水分補給の声かけをする
避難生活では、保護者もさまざまな対応に追われます。そのため、「気づいた時に飲ませる」だけでは、水分補給の間隔が空いてしまうことがあります。
スマートフォンのアラームを利用したり、食事やトイレのタイミングと組み合わせたりして、定期的に声をかけましょう。
避難所内で周囲の家族とも声を掛け合い、「そろそろ水分を取りましょう」と確認する方法も有効です。
4.氷がなくても、水と風で体を冷やす
氷や保冷剤がなくても、体を冷やすことはできます。
タオルやハンカチ、手ぬぐいなどを水で濡らし、首やわきの下、足の付け根などに当てましょう。衣服をゆるめ、濡らした皮膚や衣服に、うちわや扇風機などで風を当てることも、体から熱を逃がす助けになります。環境省も、皮膚に水をかけて風を送る方法を、熱中症が疑われる際の冷却方法として案内しています。
うちわがない場合は、厚紙、クリアファイル、冊子など、手元にあるもので風を送ることもできます。
冷たいペットボトルや缶飲料が手に入る場合は、タオルで包み、首の両脇、わきの下、足の付け根に当てると、保冷剤の代わりになります。
ただし、冷たいものを長時間直接肌に当て続けることは避けましょう。
5.服をゆるめ、汗を逃がす
汗で衣服が濡れたままになっていたり、服を重ねすぎていたりすると、体に熱がこもりやすくなります。
ボタンやファスナーを開け、首元やわきに風が通るようにしましょう。着替えがある場合は、汗で濡れた服から、乾いた薄手の服へ替えます。
着替えがない場合でも、タオルで汗を拭き、服の中に風を通すだけで負担を減らせます。
赤ちゃんは背中や首の後ろに汗をかきやすいため、手を入れて確認してください。手足が冷たくても、背中や体幹が熱くなっていることがあります。
6.抱っこひもやベビーカーの熱こもりを確認する
抱っこひもでは、大人と子どもの体が密着するため、熱がこもりやすくなります。
安全に降ろせる場所があれば、こまめに抱っこひもから降ろし、背中や首に風を通しましょう。保護者と子どもの間に汗がたまっていないかも確認してください。
ベビーカーは地面に近く、照り返しの影響を受けやすいうえ、日よけを深くかけすぎると内部に熱がこもることがあります。日よけを使用する場合も、風の通り道をふさがず、子どもの顔色や汗の状態を頻繁に確認しましょう。
7.おしっこの回数と色を確認する
小さな子どもの脱水は、おしっこの様子から気づけることがあります。
- 普段より回数が少ない
- 長い時間おしっこが出ていない
- 色が普段より濃い
- おむつが長時間濡れていない
- 口の中や唇が乾いている
こうした変化が見られた場合は、水分が不足している可能性があります。
ただし、水分を嫌がる、飲んでも吐く、ぐったりしている場合は、無理に飲ませ続けず、避難所の救護所や医療スタッフへ相談してください。
8.「元気・顔色・汗」の3つを定期的に見る
体温計がなくても、普段との違いを観察することはできます。
特に次の3つを定期的に確認しましょう。
元気
呼びかけへの反応がいつもどおりか、遊んだり話したりできているかを確認します。
顔色
顔が異常に赤い、青白い、唇の色が悪いといった変化がないかを見ます。
汗
たくさん汗をかいているだけでなく、暑い環境なのに汗が出ず、体が熱くなっている場合にも注意が必要です。
言葉で症状を説明しにくい子どもでは、機嫌が悪い、泣き方が弱い、眠ってばかりいる、抱いた時にいつもより体が熱いといった変化も重要なサインです。
9.暑い時間帯の移動や片付けを避ける
物資を受け取りに行く、車から荷物を運ぶ、自宅の片付けをするなど、避難生活では屋外へ出る必要が生じることがあります。
可能な範囲で、日差しの強い時間帯を避け、朝や夕方に行いましょう。厚生労働省なども、災害時の片付け作業では暑い時間帯を避け、日陰で休憩し、水分と塩分を補給するよう案内しています。
子どもを連れて移動する場合は、短い距離でも途中で休憩を取り、日陰に入るようにします。帽子がない場合は、タオルなどで直射日光を避ける方法もあります。ただし、顔全体を覆ったり、風通しを妨げたりしないよう注意してください。
10.車内に子どもを残さない
車内は短時間でも温度が上昇します。日陰に駐車している場合や、窓を少し開けている場合でも、安全とは限りません。
物資を受け取る間など、ごく短時間であっても、乳幼児や子どもを車内に一人で残さないでください。
やむを得ず車中泊をする場合は、風通しのよい日陰を選び、断熱シートや日よけを活用します。夜間にエンジンをかけたまま眠ることは、一酸化炭素中毒など別の危険もあるため避けるよう、公的機関から注意喚起されています。
車内で過ごすことに不安がある場合は、避難所のスタッフに相談し、より安全な場所へ移れるか確認しましょう。
このような症状があれば、すぐに助けを求めてください
次のような様子が見られる場合は、重い熱中症の可能性があります。
- 呼びかけても反応が鈍い、会話がおかしい
- ぐったりして起き上がれない
- けいれんしている
- 普段どおり歩けない
- 水分を自力で飲めない
- 繰り返し吐いている
- 体が非常に熱い
- 涼しい場所で休ませても症状が改善しない
呼びかけへの反応がおかしい場合や、自力で水分を飲めない場合は、無理に飲ませてはいけません。誤って飲み物が気道に入る危険があります。救護所や避難所のスタッフへ直ちに伝え、必要に応じて119番へ連絡してください。
救急車や医療スタッフを待っている間も、涼しい場所へ移し、衣服をゆるめ、水と風を使って体を冷やし続けることが大切です。
保護者の方も、無理をしないでください
避難生活では、子どもを優先するあまり、保護者自身の水分補給や休息が後回しになりがちです。
保護者が体調を崩すと、子どもの変化にも気づきにくくなります。子どもに飲ませるタイミングで一緒に水分を取り、家族や周囲の人と交代しながら休んでください。
氷や保冷剤、特別な熱中症対策グッズがなくても、涼しい場所を探す、服をゆるめる、水で濡らして風を送る、少しずつ水分を取るといった方法で、体にこもった熱を逃がすことはできます。
「いつもと違う」「少し心配」と感じた時点で、一人で抱え込まず、避難所のスタッフや医療従事者へ早めに相談してください。
被災された皆さまが、安全に過ごせる環境を一日も早く取り戻せることを、心よりお祈り申し上げます。








