風邪などの内科症状

子どもの熱が上がったり下がったりする原因と対処法|受診目安を小児科医が解説

子どもの熱が上がったり下がったりする原因と対処法|受診目安を小児科医が解説
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子どもが発熱したとき、熱がいったん下がったと思ったらまた上がってしまい、不安を感じる保護者の方は多いかと思います。繰り返す発熱は、子どもの体が感染症と戦っている自然な反応であることがほとんどです。この記事では、発熱が繰り返される原因や注意すべき病気、家庭でのケア方法と受診目安を小児科医の視点から解説します。

子どもの熱が上がったり下がったりするのはなぜ?

子どもの体温は大人と異なる特性があり、同じ発熱でも変動のパターンが違います。なぜ熱が上がったり下がったりを繰り返すのか、その背景には発熱という体の防御反応と子どもの免疫の特性、そして体温の自然な日内変動が関係しています。それぞれのメカニズムを理解しておくと、発熱が続くときにも落ち着いて対応できるようになります。

発熱は体の防御反応|体温が変動する仕組み

発熱とは、体内にウイルスや細菌などの病原体が入ってきたときに免疫系が体温を意図的に上昇させる防御反応です。体温が上がることで免疫細胞の働きが活性化し、病原体を排除しやすくなります。

熱が下がるのは、免疫の働きにより病原体の活動が抑えられたサインです。しかし完全に排除しきれていない場合、病原体が再び活性化して体温が上昇することがあり、これが「熱が上がったり下がったり」という状態につながります。

子どもの免疫機能が未熟なために繰り返しやすい理由

子どもは大人に比べて免疫機能が十分に発達していないため、熱が繰り返しやすい傾向があります。特に初めて感染するウイルスや細菌に対しては免疫の記憶がなく、体が対応するのに時間がかかります。

また年齢が低いほど感染症にかかりやすく、発熱のたびに体力を消耗しながら免疫を獲得していく過程が「繰り返す発熱」として現れることが多いです。こうした繰り返しを経て、子どもの免疫は少しずつ鍛えられていきます。

体温の日内変動|朝低く夜高くなるのは自然なこと

人の体温は一日を通じて変動しており、体温には一日の中で変化するリズムがあり、日中から徐々に上がって夕方以降に高くなる傾向があります。この「日内変動」は健康な状態でも起こる自然な現象で、差は約0.5〜1℃程度です。

発熱中の子どもでは、もともと高い体温にこの日内変動が加わるため、朝に測ったときは平熱に近くても夕方には再び高熱になるように見えることがあります。「熱が下がった」と思っても日内変動の影響である場合もあるため、複数回の測定で経過を確認することが大切です。

繰り返す発熱の原因として考えられる病気

子どもが繰り返す発熱の背景には、さまざまな感染症や疾患が関係しています。多くは風邪などのウイルス感染症ですが、細菌性の感染症や早めに診断が必要な疾患が原因の場合もあります。どのような病気が考えられるのかを知っておくことが、適切な対応につながります。

ウイルス性感染症(風邪・インフルエンザなど)

ウイルス感染症のことを一般的に風邪と呼びます。その中でも症状が強かったり特徴的なものを、そのウイルスの名前でインフルエンザ感染症やアデノウイルス感染症と呼んでいます。風邪に代表されるウイルス群・インフルエンザウイルス・RSウイルス・アデノウイルスなどが代表的です。

インフルエンザやヘルペスウイルスなどは抗ウイルス薬がありますが、それ以外のウイルスについては抗生物質は効きません。症状を和らげる治療を行いながら、体の免疫の働きによって回復するのを待つことが基本です。

発熱は2〜5日程度続くことが多く、水分補給と安静が基本となります。保育園や学校などで集団生活を送っている子どもは、複数のウイルスに次々と感染することで熱が繰り返すように見えることもあります。

細菌性感染症(溶連菌・中耳炎・尿路感染症など)

細菌による感染症は抗生物質による治療が必要なため、早めの診断が重要です。溶連菌感染症は喉の強い痛みと高熱が特徴で、適切に治療しないとリウマチ熱・急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こす可能性があります。

中耳炎は発熱と耳の痛みが主な症状ですが、乳幼児は耳を触る・機嫌が悪いといったサインで気づくことが多いです。尿路感染症は発熱以外の症状が少なく見逃されやすいため、原因が不明な発熱が繰り返す場合は医師に相談してください。

見逃したくない疾患(川崎病・熱性けいれんなど)

発熱の中で特に注意が必要な疾患があります。川崎病は5日以上続く発熱に加え、目の充血・口唇の赤み・発疹・手足の腫れなどが現れる小児特有の疾患で、冠動脈に合併症を起こす可能性があるため早期受診が必要です。熱性けいれんは発熱に伴って起こることが多く、初めて経験した場合は必ず医療機関を受診してください。以下の表で主な病気の特徴をまとめます。

病気の種類 主な症状の特徴 対応の目安
ウイルス性感染症(風邪など) 鼻水・咳・発熱 安静・水分補給(抗生物質不要)
インフルエンザ 急激な高熱・全身倦怠感・筋肉痛 抗インフルエンザ薬・安静
溶連菌感染症 喉の強い痛み・高熱・発疹 抗生物質による治療が必要
中耳炎 耳の痛み・発熱・機嫌不良 耳鼻科または小児科を受診
尿路感染症 発熱が主症状(他の症状が少ない) 抗生物質による治療が必要
川崎病 5日以上の発熱・目の充血・発疹など 早急に小児科受診が必要

発熱が5日以上続く・症状が悪化するといった場合は、いずれの病気であっても医療機関への受診をおすすめします。

年齢別・状況別の注意ポイント

発熱が繰り返す場合の対応は、子どもの年齢によって大きく異なります。特に月齢・年齢が低いほど症状の変化が速く、注意すべき点も多くなります。年齢ごとの特性を把握しておくことで、いざというときに落ち着いて判断できるようになります。

生後3か月未満の発熱は緊急のサイン

生後3か月未満の赤ちゃんは免疫機能が非常に未熟で、発熱(38℃以上)が確認されたときは速やかに医療機関を受診してください。この時期の発熱は、細菌性髄膜炎(ずいまくえん)や敗血症など重篤な感染症が原因である可能性があり、急激に重症化することがあります。

生後3か月未満の発熱は「様子を見る」ではなく「すぐに受診」が原則です。夜間・休日であっても救急を受診してください。

乳幼児(生後3か月〜3歳)の繰り返す発熱

生後3か月〜3歳の乳幼児期は、保育園などで集団生活が始まる時期と重なり、さまざまな感染症にかかりやすくなります。この時期は1年に6〜8回程度感染症にかかることも珍しくなく、繰り返す発熱は必ずしも異常ではありません。

熱が38〜39℃台でも機嫌がよく水分が摂れていれば、基本的には様子を見てよいことが多いです。ただし発熱が3日以上続く・ぐったりしている・水分が摂れないといった場合は、早めに受診を検討してください。

ただし、6ヶ月未満のお子さんの場合、解熱剤が使用できないため、特に注意深く様子を観察するようにしましょう。

学童期(4歳以上)の繰り返す発熱と注意点

4歳以上になると免疫機能がある程度発達し、感染症の頻度や重症度は乳幼児期より低下する傾向があります。しかし発熱が続く場合は、溶連菌感染症・インフルエンザ・マイコプラズマ肺炎などが原因として考えられます。マイコプラズマ肺炎は発熱と長引く咳が特徴で、学童期に多い感染症です。以下の表で年齢別の対応の目安を確認してください。

年齢 発熱時の基本的な対応 特に注意すること
生後3か月未満 すぐに救急受診(様子見は禁止) 細菌性髄膜炎・敗血症のリスク
生後3か月〜1歳 機嫌・水分摂取を確認。悪化なら受診 脱水・高熱による熱性けいれん
1〜3歳 水分補給と安静。3日以上続くなら受診 中耳炎・尿路感染症を見逃さない
4歳以上 1週間以上続く・咳が長引くなら受診 マイコプラズマ肺炎・溶連菌に注意

年齢にかかわらず、元気がない・水分が摂れないという状態が続く場合は、迷わず小児科を受診してください。

家庭でできるホームケアのポイント

発熱が繰り返すとき、保護者ができることは医療機関での治療だけではありません。自宅での適切なホームケアが子どもの体の回復を助け、症状の悪化を防ぐ重要な役割を担います。安静・水分補給・体温管理の3つを軸に、具体的なケアのポイントを確認しておきましょう。

安静と睡眠|体の回復を助ける環境づくり

発熱中は体が病原体と戦っており、無理に動き回ると体力を余計に消耗し回復が遅れることがあります。熱がいったん下がったからといってすぐに外出や活発な活動を再開するのは避け、体温が安定して平熱に戻るまでは、無理に活動を再開せず落ち着いて過ごさせることが大切です。子どもが安心して休めるよう、次の点を整えましょう。

  • 部屋の温度を20〜22℃程度に保ち、寒暖差をつくらない
  • お気に入りのぬいぐるみや絵本をそばに置き、静かに過ごせる環境を用意する
  • 熱が下がっても当日はすぐに外出させず、室内で様子を見る
  • 眠れている間は無理に起こさず、十分な睡眠を確保させる

水分補給と食事のとり方

発熱中は汗・呼吸・尿などで水分が通常より多く失われます。脱水を防ぐために、少量ずつこまめに補給することが重要です。水・麦茶・経口補水液などが基本で、吐き気がある場合は一度に多量に飲ませると嘔吐を誘発することがあるため、スプーン1〜2杯ずつ与えることから始めましょう。

食事は無理に食べさせる必要はなく、食欲があればおかゆ・うどん・スープなど消化のよいものを少量から始めてください。食欲や元気が戻っている時間帯を見ながら、水分や食事を少しずつ補うようにしましょう

体温に合わせた衣類と室温の調整

発熱の経過において体温は段階的に変化するため、状態に応じた対応が必要です。手足が冷たく寒気がある時期は熱が上がりきる前のサインで、毛布や上着で体を温めてあげましょう。その後、手足が温かくなり汗をかき始めたら熱のピークを超えたサインです。

発熱時は体の状態に応じて対応を変えることが重要です。寒そうにしているときは体を冷やさないよう配慮し、逆に汗をかいている場合は衣類や室温を調整して熱を逃がしやすくします。汗をかいたあとは、そのままにせず体を拭いて衣類を整えてあげましょう。汗をかいた後はそのまま放置せず、体が冷えないよう拭き取って速やかに着替えさせましょう。

受診の目安|いつ小児科・救急へ行くべきか

発熱が繰り返す場合でも、すべてが緊急受診を要するわけではありません。一方で、見逃してはならない危険なサインも存在します。子どもの状態をどう判断するかを事前に把握しておくことで、いざというときに落ち着いて行動できます。

受診を急ぐべき危険なサイン

以下の症状が見られる場合は、時間帯を問わず速やかに救急・夜間対応の医療機関を受診してください。高熱そのものよりも、付随する症状の変化を注意深く観察することが重要です。

症状 目安・補足
生後3か月未満の発熱 38℃以上で夜間でも即受診
意識がぼんやり・呼びかけに反応が薄い 高熱と合わさると重篤サインの可能性
けいれんが起きた(または繰り返した) 5分以上続く場合は救急車を呼ぶ
水分を6〜8時間以上まったく摂れない 脱水リスクが高い
呼吸が速い・苦しそう・鼻翼呼吸がある 肺炎・気管支炎などの合併を疑う
首が硬い・激しい頭痛を訴える 髄膜炎の可能性あり
皮膚に点状の出血斑がある 細菌性感染症の重篤サイン

平日の小児科でよい症状・時間外に行くべき症状

熱が上がり下がりしていても、水分が摂れており機嫌が極端に悪くなければ、翌朝まで自宅で様子を見て平日の小児科を受診する判断で問題ない場合がほとんどです。判断に迷う際は、以下の表を参考にしてください。

状態 受診のタイミング
熱が2〜3日続いているが水分・食事が摂れている 翌日の平日受診で可
発熱が3〜4日以上続き改善がない 平日のなるべく早い受診を
熱性けいれんの既往がある・再度けいれんした 救急または時間外を受診
発熱+激しい嘔吐・下痢で水分が摂れない 時間外受診を検討
上記の危険サインがある 時間帯にかかわらず即受診

夜間に「受診すべきかどうか迷う」場合は、#8000(小児救急電話相談)に電話すると、看護師や医師が相談に応じてくれます。無理に判断せず、専門家の意見を活用しましょう。

熱性けいれんが起きたときの対応

熱性けいれんは6歳以下の子どもの約2〜5%に起こるとされ、多くは5分以内に自然に止まります。初めて経験した保護者は非常に驚きますが、まずは落ち着いて以下の対応をとってください。

  • 子どもを床など安全な場所に横向きに寝かせ、口に何も入れない
  • けいれんの様子(持続時間・手足の動き方)をスマートフォンで記録する
  • 5分以上続く・繰り返す・意識の回復が遅い場合はすぐに救急車を呼ぶ

けいれんが止まった後は意識の戻り方を確認し、ぼんやりした状態が続く場合や初めてのけいれんであれば、時間帯にかかわらず医療機関を受診してください。

よくある質問

  • Q子どもの熱が上がったり下がったりするのはなぜですか?

    A発熱時に体温が変動するのは、免疫系が感染と戦いながら体温を調節しているためです。解熱剤の効果が切れるタイミングでも熱が再び上がることがあります。多くの場合、自然な経過であり異常ではありません。

  • Q解熱剤はどのタイミングで使えばよいですか?

    A38.5℃以上かつ機嫌が悪い・眠れない・水分を嫌がるなど明らかに辛そうな場合に使用します。熱を下げること自体が目的ではなく、体を楽にするために使うものです。使用間隔は6〜8時間を守りましょう。

  • Q何日間熱が続いたら受診したほうがよいですか?

    A発熱が3〜4日以上続き改善の兆しがない場合は、平日のなるべく早いタイミングで小児科を受診してください。水分が摂れない・意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、日数にかかわらず即受診が必要です。

  • Q熱が下がった日に保育園・幼稚園に行かせてもいいですか?

    A解熱後24時間以上が経過し、食欲や機嫌が平常に近い状態に戻ってから登園するのが目安です。解熱直後は体力が戻りきっておらず、感染を広げるリスクもあるため、翌日以降の登園が望ましいといえます。

  • Q熱が上がり下がりする間、食事はどう与えればよいですか?

    A無理に食べさせず、熱が一時的に下がって食欲があるタイミングを活用しましょう。おかゆ・うどん・スープなど消化のよいものを少量から与え、まず水分確保を優先してください。食欲のない日が続いても水分補給ができていれば過度に心配する必要はありません。

  • Q夜中に急に39℃以上になったとき、救急に行くべきですか?

    A生後3か月未満・けいれん・意識がおかしい・水分がまったく摂れない場合は夜間でも即受診です。それ以外で水分が摂れており機嫌が極端に悪くなければ、オンライン診療を受診し、医師に相談するのも良いでしょう。


まとめ

子どもの熱が上がったり下がったりするのは、免疫が感染と戦う過程で起こる自然な反応です。年齢・月齢に応じた注意ポイントを押さえつつ、安静・水分補給・体温管理の基本ケアを継続しながら経過を観察しましょう。発熱の日数よりも「水分が摂れているか」「意識や反応に変化がないか」を優先して確認し、危険なサインを認めた場合や3〜4日以上改善しない場合は速やかに小児科を受診してください。

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監修
先生 風間 尚子
風間 尚子先生
小児科専門医
日本赤十字社医療センターにて小児科医として勤務した後、現在は都内の小児科クリニックにて診療に従事。みてねコールドクターの医療監修も担当。PALS(小児二次救命処置)インストラクターとして救急対応にも精通。

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