子ども・家族の体調管理

子どものウイルス性胃腸炎は家族にうつる?症状・潜伏期間と家庭でできる予防策

子どものウイルス性胃腸炎は家族にうつる?症状・潜伏期間と家庭でできる予防策
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子どもが突然吐いてしまうと、とても心配になりますし、「このあと家族にも次々うつってしまうのでは…」と不安になりますよね。とくにウイルス性胃腸炎は感染力が強く、看病しているお母さん・お父さんやきょうだいに広がりやすい病気です。この記事では、小児科の立場から、子どものウイルス性胃腸炎の症状や潜伏期間、家族にうつる仕組みと家庭でできる予防策、ホームケアや受診の目安までをやさしく整理してお伝えします。慌てずに読んでいただき、一緒に「家族全員がダウンしないためのポイント」を確認していきましょう。

子どものウイルス性胃腸炎とは?原因ウイルス・症状・潜伏期間

子どものウイルス性胃腸炎は、「おなかの風邪」と呼ばれることもある病気で、嘔吐(はきけや吐いてしまうこと)や下痢、おなかの痛み、発熱などが主な症状です。
原因の多くは、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどのウイルスで、保育園や学校、家庭の中で一気に広がることがあります。
とくに体が小さい子どもは、同じ症状でも大人よりも脱水になりやすく、注意が必要です。一方で、多くの場合は数日から1週間ほどで少しずつ回復していくことが多い病気でもあります。まずは原因となるウイルスや典型的な症状、潜伏期間(うつってから症状が出るまでの時間)の目安を知り、慌てずに様子をみられるようにしておきましょう。

子どもに多いウイルス性胃腸炎の原因と流行しやすい時期

子どもの胃腸炎の多くはウイルス性胃腸炎で、その代表がノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどです。
ノロウイルスは冬に流行のピークを迎えることが多く、少しのウイルス量でもうつる非常に感染力の強いウイルスです。
ロタウイルスも主に冬から春にかけて流行し、水のような下痢が続き、便が白っぽくなることがあるのが特徴です(ロタウイルスにはワクチンがあり、重症化を防ぐ効果が期待できます)。
アデノウイルスは季節を問わず一年中みられ、熱や下痢の症状が比較的長く続くことがあります。
こうしたウイルスは、保育園や学校など人が集まる場所で広がりやすく、家に持ち帰られて家族にうつることも少なくありませんが、多くは適切なケアで回復していきます。

嘔吐・下痢・発熱・腹痛など主な症状の特徴

ウイルス性胃腸炎では、まず突然の嘔吐から始まり、その後に水っぽい下痢やおなかの痛み、発熱が出てくることが多いです。嘔吐は1〜2日ほどで落ち着いてくることが多い一方で、下痢だけが数日〜1週間ほど続くこともよくあります。おなかの痛みは、きりきりとしたり、しくしくしたりと波があり、痛みのあとにトイレに行きたくなるパターンもよく見られます。熱は出ないこともあれば、38〜39℃くらいまで上がることもあり、ぐったりする様子がないか、顔色や機嫌、水分のとり方を一緒にチェックしてあげることが大切です。多くのお子さんは、つらい時期を過ぎると少しずつ笑顔や食欲が戻ってきますので、無理をさせずに回復を待ってあげましょう。

潜伏期間と回復までのおおよその期間と、うつりやすいタイミング

ウイルス性胃腸炎の潜伏期間は、ノロウイルスで1〜2日、ロタウイルスで2〜4日程度など、原因ウイルスによって少しずつ違います。たとえば保育園で胃腸炎が流行しているクラスに通っている場合、「一緒に遊んだ2〜3日後から急に吐きはじめた」という経過は、ウイルス性胃腸炎ではよくあるパターンです。症状が出ているあいだはもちろん、嘔吐や発熱が落ち着いたあとも、しばらくは便の中にウイルスが多く含まれており、トイレやおむつ替えを通じて家族にうつりやすい時期が続きます。
回復までの期間は個人差がありますが、多くは数日〜1週間ほどで食欲や元気が戻ってきます。「症状が軽くなってきても、トイレ後の手洗いやおむつ替え時のケアはしっかり続ける」と意識しておくと、家庭内での二次感染を減らしやすくなります。


子どもの胃腸炎はどれくらいうつる?家族への主な感染経路

子どものウイルス性胃腸炎は、いわゆる「おなかの風邪」ですが、実はインフルエンザ以上にうつりやすいといわれることもあるほど感染力が強い病気です。とくにノロウイルスなどは、ごくわずかなウイルス量でも感染してしまうため、看病しているお母さん・お父さんやきょうだいに広がりやすくなります。
とはいえ、どこからどのようにうつるのか仕組みを知り、家庭の中で気をつけるポイントを押さえておくと、家族全員が次々とダウンしてしまうリスクをかなり減らすことができます。ここでは、主な感染経路と「うつりやすい場面」を具体的に整理し、できる対策をイメージしやすくお伝えします。

便や嘔吐物からの経口感染・粉じん感染のしくみ

ウイルス性胃腸炎の多くは、便や嘔吐物に含まれるウイルスが口から入ることでうつります。おむつ替えやトイレ掃除、吐いてしまった後片付けのときに、手や服、床などに付いたウイルスが十分に落としきれず、その手で口元をさわったり、食べ物に触れたりすることで感染してしまう「経口感染」が代表的なパターンです。
また、嘔吐したときに飛び散ったしぶきが空気中に舞い上がり、それを吸い込む「飛沫感染」や、乾いた嘔吐物・便のかけらがホコリと一緒に舞って鼻や口から入る「粉じん感染」も起こりえます。
ノロウイルスなどは、10〜100個程度というごく少ない数でも感染するとされており、「少しくらい大丈夫だろう」と油断してしまうと、いつの間にか家族に広がってしまうのが怖いところです。
ただ、正しい処理と手洗いを心がけることで、感染のリスクは確実に減らすことができます。

トイレ・おむつ替え・食事の準備などうつりやすい場面

家庭の中でとくにうつりやすいのは、「便や嘔吐物にふれる場面」と「食事に関わる場面」です。
具体的には次のようなタイミングで注意が必要です。

  • おむつ替えやトイレの介助をしたあと
  • 嘔吐した場所や服、布団を片付けているとき
  • 食事の準備や配膳をする前後
  • 子どもの口ふきやタオルをさわったあと

こうした場面では、手や指先、爪の間、袖口などにウイルスが残りやすく、そのまま別の家族の食器やおやつ、ドアノブ、リモコンなどに触れることで、家族全体へと広がってしまいます。また、トイレのレバーや便座、洗面所の蛇口なども共有しやすい場所なので、「誰かが胃腸炎のあいだはこまめに掃除する」「手拭きタオルを共有しない」といった工夫が役立ちます。
ポイントをおさえておけば、必要以上に神経質にならなくても、現実的な範囲で感染リスクを下げることができます。

きょうだい・親・祖父母など大人にうつりやすい理由

子どもに胃腸炎が出ると、最も近くでお世話をするお母さん・お父さん、同じ部屋で過ごすきょうだい、時には祖父母まで次々に体調を崩してしまうことがあります。これは、看病やおむつ替え、トイレ介助、食事の準備など、ウイルスにふれる機会がどうしても増えることが大きな理由です。
とくに、小さなきょうだいは「おもちゃの共有」「手づかみでの食事」などを通じて、手指から口にウイルスが入りやすい環境にあります。また、大人の場合でも、疲れや睡眠不足、ストレスなどで免疫力が落ちていると、子どもより症状が重く出てしまうことも少なくありません。
とはいえ、家族の中で手洗いやマスク、嘔吐物の正しい処理方法を共有し、「みんなで気をつけようね」と声をかけ合うことで、感染の広がりをかなり防ぐことができます。
多くのご家庭で、しっかり対策をすることで「子どもだけで済んだ」「1人だけが軽くすんだ」というケースもありますので、できる範囲で続けていきましょう。

家族にうつさないための家庭での予防対策

子どもがウイルス性胃腸炎になると、どうしても看病する大人やきょうだいにうつらないかが心配になりますよね。とはいえ、家の中ですべてを完璧に管理することは現実的ではありませんし、「ここだけは押さえる」というポイントを知っておくことが大切です。
とくに手洗い・マスク・換気などの基本的な対策に加えて、嘔吐物や便の処理、汚れた服の扱い方を少し工夫するだけでも、家庭内感染のリスクはぐっと下がります。必要以上に神経質になりすぎず、「これだけは意識しよう」という現実的な対策を、一つずつ確認していきましょう。

手洗い・マスク・換気など基本の感染対策

多くのウイルス性胃腸炎では、アルコール消毒よりも「石けんと流水でしっかり手を洗うこと」が何より大切です。おむつ替えやトイレの後、嘔吐物や汚れ物を片付けた後、食事の準備や食器をさわる前には、指先・指の間・爪のきわ・手首まで意識して、少なくとも20〜30秒ほどかけて洗うようにしましょう。
看病をするときは、できればマスクをつけ、咳や嘔吐のしぶきが直接顔にかからないようにすると安心です。
また、トイレや子どもが吐いてしまった部屋は、ときどき窓を開けて換気をしておくと、においだけでなく空気中のウイルスも薄めることにつながります。
すべてを完璧に行う必要はありませんが、「手洗い+マスク+少しの換気」を家族みんなで意識できると、家庭内での広がりをかなり抑えることができます。

嘔吐物・便の安全な処理方法と次亜塩素酸ナトリウムの使い方

嘔吐物や便の処理は、家庭内感染を防ぐうえでとても重要な場面です。
片付ける人は、できるだけ使い捨ての手袋とマスクをつけ、あればエプロンやメガネも使うと安心です。床やシーツの上に吐いてしまった場合は、ペーパータオルやいらない布で優しく覆い、こすらずに「そっとすくい取る」イメージでまとめ、ビニール袋を二重にしてしっかり口を閉じて捨てます。その後の消毒には、アルコールではなく、家庭用塩素系漂白剤を水で薄めた「次亜塩素酸ナトリウム液」を使います。
目安として、吐いてしまった場所やトイレ周りには0.1%(500mlの水に塩素系漂白剤キャップ1杯程度)を使い、ペーパータオルをひたして数分間しっかり濡らしてから拭き取り、最後に水拭きすると安心です。手袋を外した後は、必ず石けんで手洗いをしておきましょう。

次亜塩素酸ナトリウム液による消毒についてはこちらも参考になります。

汚れた服や寝具の洗い方・洗濯機を汚さないコツ

子どもが吐いてしまった服やパジャマ、シーツなどを、そのまま洗濯機に入れてしまうと、洗濯槽の中で他の衣類にウイルスが広がってしまうことがあります。
まずはバケツや洗面器の中で、ゴム手袋をつけて汚れを軽く落とし、その水はトイレに流すようにしましょう。そのうえで、色落ちしにくい白い物であれば、塩素系漂白剤を薄めた水にしばらくつけ置きしてから、他の洗濯物とは分けて洗います。
色柄物など塩素に弱い素材の場合は、80〜85℃程度のお湯に1分以上つける方法もありますが、やけどには十分注意してください。どうしても完全な消毒が難しければ、「汚れた物だけを別にして、できる範囲でよくすすいでから洗濯機に入れる」だけでも、他の洗濯物への広がりを減らすことができます。
完璧を目指しすぎず、家族の負担が少ない方法で続けていきましょう。

子どもの胃腸炎ホームケア|水分・食事・お世話のポイント

ウイルス性胃腸炎には「これを飲めば一気に治る」という特効薬はなく、基本はお子さんの体がウイルスを外に出し切るのを待つことになります。その間に一番大切なのは、脱水を防ぎながら、無理のない範囲で水分と栄養を補ってあげることです。
また、看病する大人の負担も大きくなりやすいので、「できることだけを丁寧に行う」くらいの気持ちで十分です。ここでは、水分補給・食事・夜間のお世話のポイントを整理しますので、すべて完璧にやろうとせず、取り入れられそうなところから試してみてくださいね。

脱水を防ぐ水分補給(経口補水液など)の与え方

嘔吐や下痢が続くと、体の中の水分と電解質(塩分など)が少しずつ失われていきます。とくに体の小さい子どもは脱水になりやすいため、「どれくらい飲めているか」を意識して見守ることが大切です。吐き気が強い時期に一度にたくさん飲ませると、かえってまた吐いてしまうことが多いため、少量ずつこまめに与えるのがポイントです。

  • 吐き気が落ち着いてきたら、経口補水液(OS-1など)をスプーン1杯(5ml)ずつ、5〜10分おきに与える
  • 母乳やミルクのお子さんは、医師の指示がなければ基本的に続けてよく、少なめの回数で様子を見る
  • お茶や水だけよりも、塩分・糖分のバランスがとれた経口補水液のほうが脱水予防に適している

少しずつでも口に入っていれば、体はゆっくりと水分を吸収していきます。「一度にたくさん飲めない=すぐ危険」というわけではありませんので、焦らずにこまめな水分補給を続けていきましょう。

吐き気が強いとき・落ち着いたときの食事の選び方

嘔吐が続いているあいだは、無理に食べさせる必要はありません。まずは水分を優先し、吐き気が落ち着いてきて「おなかすいた」と言いはじめたら、消化のよい炭水化物から少しずつ再開していきます。脂っこいものや甘すぎるお菓子、生ものなどは、回復するまで控えめにしておくと安心です。

  • 吐き気が落ち着いてきたら:おかゆ、やわらかく煮たうどん、パンがゆ、よく煮込んだ野菜スープなど
  • 少し慣れてきたら:バナナ、じゃがいも、にんじん、白身魚など、消化のよいものを少量ずつ
  • 当面は避けたいもの:揚げ物、クリームたっぷりの料理、スナック菓子、炭酸飲料、生野菜など

子ども自身の「食べたい」「もういらない」というサインも大切にしつつ、少しでも口にできていれば十分です。食欲がなくても、水分がとれていておしっこが出ていれば、慌てずに見守ってかまわないことが多いですよ。

夜間の付き添いとトイレ介助で気をつけたいこと

夜間は嘔吐や下痢が続くと、お子さんも保護者の方もなかなか眠れず、とても大変に感じやすい時間帯です。可能であれば、吐いてしまってもすぐ片付けられるように、枕元にタオルやビニール袋、着替えを用意しておくと少し安心できます。トイレまで歩くのがつらそうな場合は、途中で転ばないように、足元をしっかり照らしてあげてください。

一晩中ずっと完璧に見張っている必要はなく、「吐きそうなときは声をかけてね」と声をかけ、吐き気が強いタイミングだけそばについてあげる形でも大丈夫です。保護者の方がまったく眠れない状態が続くと、看病する力も落ちてしまいますので、交代で休んだり、可能な範囲で横になったりしながら乗り切っていきましょう。多くの場合、いちばんつらい夜を1〜2晩乗り越えると、少しずつ症状が落ち着いてくることが多いです。


登園・登校と親の仕事はどうする?家庭内感染と生活の両立

子どもが胃腸炎になったとき、「いつから保育園や学校に行っていいのか」「親は仕事を休むべきか」と悩まれる方はとても多いです。家庭内感染をできるだけ防ぎつつ、生活や仕事とのバランスをとる必要があるため、正解が一つに決めにくいテーマでもあります。
ただ、いくつかの目安や考え方を知っておくと、毎回ゼロから迷わずにすみ、「これくらいなら登園・出勤して大丈夫そうだな」と判断しやすくなります。ここでは、登園・登校のタイミングや、保護者の仕事の向き合い方について整理してお伝えします。

登園・登校の目安と園や学校への連絡ポイント

登園・登校の目安は、嘔吐や下痢の程度、元気や食欲の回復具合などを総合的に見て判断します。
一般的には、嘔吐がおさまり、下痢の回数が減ってきて、いつものように水分や食事がとれていれば、少しずつ復帰を検討してよい場合が多いです。
高熱が続いている間や、トイレに間に合わないほどの強い下痢があるうちは、無理をさせずにお休みさせたほうが安心です。

園や学校によっては、胃腸炎など感染症について独自の基準や提出書類を定めていることがあります。事前に連絡帳や園だより、学校のしおりなどでルールを確認しておき、「いつから登園(登校)可能か」「医師の診断書が必要か」などを把握しておくとスムーズです。
迷うときは、園や学校に直接電話で相談し、「昨晩から吐いていない」「少し軟便だが機嫌は良い」など具体的な様子を伝えて、相談しながら決めると安心です。

親に症状がないとき・出てきたときの仕事を休む判断

子どもが胃腸炎になっても、親自身が元気であれば、基本的には仕事を休む必要がない場合も多いです。ただし、看病のために夜間の睡眠不足が続き、安全面に影響しそうな職種(運転を伴う仕事、高所作業など)の場合は、無理をしない判断も大切になります。
また、自分に症状が出ていない場合でも、「子どもが感染性の胃腸炎でお休み中」であることを職場に伝えておくと、急な早退やお休みが必要になった際に理解を得やすくなります。

一方で、親御さんにも嘔吐や下痢、発熱などの症状が出てきた場合は、無理をして出勤することはおすすめできません。自分の回復が遅れるだけでなく、職場の同僚やお客様にうつしてしまう可能性もあるためです。「朝になっても水分もつらい」「トイレからなかなか離れられない」といった状態であれば、迷わず休みを取り、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

飲食業など感染対策が厳しい職種での注意点

飲食店や給食関係、介護施設、保育関係など、食べ物を扱ったり、感染に弱い方と接したりするお仕事では、胃腸炎に関するルールが厳しめに設定されていることが多いです。本人がノロウイルスなどの感染性胃腸炎と診断された場合、一定期間の出勤停止や便が正常になるまでの自宅待機を義務づけている職場もあります。また、「家族が感染した場合も、一定期間は出勤前に体調確認をする」といった細かなルールを定めているケースも少なくありません。

こうした職種の場合は、就業規則やマニュアルを一度よく確認しておき、子どもが胃腸炎になったときには、早めに上司や担当部署に相談しておくと安心です。「子どもがいつから登園できそうか」「自分に症状がないか」をこまめにチェックしながら、職場とすり合わせていきましょう。多くの職場では、無理をして出勤して周囲に広げてしまうよりも、早めの報告と適切な休養を歓迎してくれることがほとんどです。

すぐ受診したほうがよいとき・救急受診の目安

ウイルス性胃腸炎の多くは、家庭でのケアと時間の経過で少しずつ良くなっていく病気です。一方で、脱水が進んでしまったり、別の重い病気が隠れていたりする場合には、早めの受診や救急の受診が必要になることもあります。「どこまでが様子を見ていてよい状態で、どこからが危険なのか」が分かっていると、夜間や休日でも判断しやすくなります。ここでは、受診を急いだほうが良いサインと、自宅で様子を見ながら翌日以降の受診でもよいケースの目安をお伝えします。

脱水やぐったり感など緊急度が高いサイン

とくに注意したいのは、脱水が進んでしまっているサインや、子どもの意識・反応に変化がみられる場合です。次のような様子があれば、夜間や休日であっても、救急外来の受診を検討してください。

  • 半日以上おしっこが出ていない、または量が極端に少ない
  • 唇や口の中が乾いてカサカサしている、涙が出ない
  • 顔色が悪く、ぐったりして呼びかけへの反応が弱い
  • 繰り返し激しい腹痛を訴え、顔をしかめてのたうつような様子がある
  • 嘔吐物に緑色の液体や多量の血が混じる、黒っぽい便や血便が出る

こうした症状がある場合、単なるウイルス性胃腸炎にとどまらず、腸閉塞(腸の通り道がふさがる病気)や腸重積(腸が腸に入り込む病気)など、別の病気が隠れている可能性もあります。迷った場合は、「今の症状を救急相談窓口に電話で伝えて相談する」という方法もありますので、一人で抱え込まずに頼ってくださいね。

自宅で様子を見ながら翌日以降の受診でよいケース

一方で、嘔吐や下痢があっても、次のような場合は、まずは自宅で水分補給や休養を優先し、翌日の日中にかかりつけ医を受診すればよいことが多いです。

  • 嘔吐の回数が徐々に減っており、少しずつ水分がとれている
  • 下痢はあるが、機嫌や表情がそこまで悪くなく、遊ぶ元気も少しある
  • 38℃前後の発熱はあるが、解熱剤である程度楽になって眠れている
  • 軽いおかゆやうどんなどを少し口にできている

もちろん、これらに当てはまっていても、保護者の方が「何かいつもと様子が違う」「どうしても心配でたまらない」と感じる場合は、早めに受診してかまいません。医師に診てもらうことで、「今の症状なら大丈夫そう」というお墨付きをもらえると、安心して看病を続けられることも多いです。

受診前にメモしておくと診察がスムーズになる情報

病院に行くときは、お子さんの状態をうまく伝えられるか不安になることもあります。あらかじめ次のようなポイントをメモしておくと、診察がスムーズになり、必要な検査や治療を早く決めやすくなります。

  • 嘔吐や下痢が始まった日時と、だいたいの回数
  • 最後に嘔吐したタイミング、吐いた物の色や量
  • おしっこの回数と、最後に出た時間
  • 飲めている水分の種類(経口補水液・水・お茶など)と量の目安
  • 食べられたものの内容と量
  • 通っている保育園・学校での流行状況(胃腸炎の子が多いか など)

これらを紙に書いたり、スマホのメモにまとめたりしておくと、緊張してしまう場面でも落ち着いて伝えやすくなります。「全部完璧に覚えておかなきゃ」と思う必要はありませんので、思い出せる範囲だけでも十分です。


よくある質問

  • Q家族全員にうつった場合、同じ薬や市販薬を飲んでも大丈夫?

    A子どもに処方された薬を大人が飲むのは量や成分が合わないため避けましょう。大人も症状がある場合は、水分補給を優先し、市販薬の使用も含めて内科に相談するのが安心です。

  • Q妊娠中の家族にうつると赤ちゃんに影響はある?

    Aウイルス性胃腸炎は胎盤を通じて赤ちゃんに直接影響することはほとんどありません。ただし嘔吐や下痢で脱水になると負担が大きいため、症状が出たら早めに産婦人科へ相談しましょう。

  • Q何日くらいで人にうつらなくなる?登園や出勤の目安は?

    A最もうつりやすいのは嘔吐や下痢が強い時期です。症状が落ち着き、水分や食事がとれるようになれば多くは登園・出勤を検討できます。園や職場の基準を確認し、トイレ後の手洗いは続けましょう。

  • Q感染を防ぐために家の中で隔離はどこまで必要?

    A完全隔離は現実的でなく、無理に分ける必要もありません。嘔吐が強い時期だけ距離をあける、トイレの蓋を閉めて流す、タオルやコップを共有しないなど、できる範囲の工夫で十分です。

  • Qきょうだいと同じ部屋で寝ても大丈夫?お風呂や食器は分けたほうがいい?

    A同じ部屋で寝ても問題ありませんが、嘔吐が強い時期は少し距離を取ると安心です。お風呂は短時間で、食器は本人専用を使い、使用後はていねいに洗えば過度に分ける必要はありません。


まとめ

子どものウイルス性胃腸炎は、突然の嘔吐や下痢、発熱などでお子さんも保護者の方もとてもつらく感じる病気ですが、多くの場合は数日から1週間ほどで少しずつ回復していきます。
原因となるウイルスの種類によって潜伏期間や症状の出方には違いがありますが、
「嘔吐が落ち着いたら少量ずつの水分補給を優先すること」
「無理に食べさせず、消化のよいものから少しずつ再開すること」
「トイレやおむつ替えのあとはていねいに手を洗うこと」
が、家庭でできる基本のケアと感染予防の柱になります。また、半日以上おしっこが出ない、顔色が悪くぐったりしている、嘔吐物や便に血が混じるといった様子があれば、夜間や休日でも我慢せずに医療機関や相談窓口を頼ってくださいね。

看病はどうしても負担が大きくなり、「自分まで倒れてしまわないか」と不安になることもあると思いますが、完璧を目指さなくても、できる範囲の対策を続けるだけで、家族全体のリスクはしっかり下げることができます。手洗いや嘔吐物の処理、トイレ周りのケアなど、「ここだけは意識する」というポイントを家族で共有しながら、少しでも安心して乗り切っていきましょう。
多くのお子さんは、つらい時期を過ぎれば、またいつもの笑顔と食欲を取り戻してくれますので、「今は体がウイルスと戦っている時期なんだな」と見守ってあげてください。

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監修
先生 風間 尚子
風間 尚子先生
小児科専門医
現在、日本赤十字社医療センター非常勤医・ミル訪問クリニック・吉原医院に勤務。小児科専門医、PALS(小児二次救命処置)インストラクターとして救急対応にも精通。

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