感染症

インフルエンザで子どもは何日休む?出席停止期間と登園・登校の判断を小児科医が解説

インフルエンザで子どもは何日休む?出席停止期間と登園・登校の判断を小児科医が解説
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お子さんがインフルエンザにかかったとき、「熱が下がったらもう行ける?」「何日休ませればいい?」と悩む保護者の方はとても多いものです。特に学校や園では感染が広がりやすいため、症状だけで判断すると周囲にうつしてしまうこともあります。

実は、インフルエンザの登園・登校の再開には、学校保健安全法で定められた明確な基準があり、これを守ることでお子さん自身の回復と、家庭・学校内での感染拡大防止につながります。本記事では、小児科医の視点から「出席停止期間の考え方」「数え方のコツ」「年齢による違い」を分かりやすく整理し、保護者の皆さんが安心して判断できるよう丁寧に解説します。

子どもがインフルエンザにかかった時、なぜ「休む日数」が大切なのか

インフルエンザは、学校や園で広がりやすい感染症のひとつです。症状が落ち着いても体の中ではまだウイルスが残っていることがあり、早く登校・登園させてしまうと周りのお友達へ感染が広がる原因になります。
また、体力が完全に回復していない状態で無理に登校すると、再び熱が出たり体調が悪化することもあります。だからこそ、法律で定められた出席停止期間をしっかり守ることは、「自分のお子さんを守るため」「周囲の子どもたちを守るため」の両面でとても大切なのです。

家庭内・学校内で感染が広がりやすい理由

インフルエンザウイルスは、咳やくしゃみの飛沫だけでなく、手すり・机・おもちゃなどの「触れた場所」を介して広がります。学校や園は子ども同士の距離が近く、共有物も多いため、ウイルスが伝わりやすい環境です。
また、感染初期は症状が軽くてもウイルス量が多い場合があり、本人が元気そうでも周囲にうつす力は十分にあります。
これらの理由から、回復したように見えても、一定期間しっかり休む必要があるのです。

登校・登園再開の基準が法律で決められている背景

学校保健安全法では、インフルエンザの出席停止期間が「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)」と定められています。これは、医学的にインフルエンザウイルスの感染力が高い期間が分かっているためで、科学的根拠に基づいた安全な基準です。
症状だけで判断してしまうと、まだ感染力が残っている時期に登校してしまうことがあり、集団生活の場では一気に感染が広がる可能性があります。

保護者が迷いやすいポイントと正しい判断の重要性

「熱が下がったのに行けないの?」「元気なのにもう1日休むべき?」など、実際の日常生活では判断が迷いやすいものです。特に出席停止期間は“日数の数え方”が複雑で、誤解が生じやすい部分でもあります。
正しい基準を理解しておくことで、必要以上に長く休ませることも、逆に早く行かせることも避けられます。保護者の方が自信を持って判断できるようになることは、お子さんの体調回復と周りへの配慮の両立につながります。

学校保健安全法による出席停止期間:必ず守る2つの条件

インフルエンザの登校・登園の再開には、学校保健安全法で決められた明確な基準があります。
「熱が下がったから行ける」という判断では不十分で、感染力が残っている期間を避けるための2つの条件を必ず満たす必要があります。この条件は子ども自身を守るだけでなく、学校・園での集団感染を防ぐためにもとても重要です。
ここでは、その2つの条件の意味を、小児科医の視点からわかりやすく解説します。

「発症した後5日を経過」の正しい意味

まず1つ目の条件は、「発症した後5日を経過すること」です。この“発症”とは、インフルエンザによる最初の発熱が出た日を指します。ここから最低5日間は感染力が高く、症状が軽くなってもウイルスがまだ体の中で活発に動いている時期です。
そのため、熱が早く下がっても、この5日間のルールは必ず守る必要があります。

発症日の数え方 説明
発熱した日 0日目
翌日 1日目
「発症後5日」 発熱日+5日間休む(合計6日目以降に登校可能)

この数え方を理解しておくと、登校可能日を間違えることが少なくなります。

「解熱後2日(幼児は3日)」の考え方と科学的背景

2つ目の条件は、「解熱した後、2日(幼児は3日)を経過すること」です。
“解熱”とは、薬を使わずに1日中平熱で過ごせた日を指します。その翌日が「解熱1日目」となり、この日数を必要分経過させます。
幼児が3日間必要なのは、咳エチケットやマスクが難しく、飛沫が周囲へ飛びやすいことが理由です。

2つの条件を満たすまで登校できない理由

インフルエンザウイルスは、解熱後もしばらく体内に残り、完全には消えていません。特に登校・登園直後は運動や活動量が増えるため、まだ体力が戻っていない子どもの負担にもなりやすい時期です。このため、法律で定められた「発症後の日数」と「解熱後の日数」の双方が整うまでは登校・登園できません。
これらの基準を守ることで、本人の回復を助けるだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐ大切な役割を果たします。

意外と間違えやすい日数の数え方:0日目のルール

インフルエンザの出席停止期間で最も多い質問が「何日目として数えるの?」という点です。熱が出た日や熱が下がった日を“1日目”と考えてしまい、登校可能日を1日ずらして誤解してしまうケースがよくあります。正しい数え方を知っておくことで、復帰のタイミングを迷わず判断でき、園や学校との連絡もスムーズになります。ここでは、保護者の方が最もつまずきやすい**「0日目」の考え方**を丁寧に解説します。

発症日の「0日目」からの数え方を具体的に解説

インフルエンザで最初に発熱した日=発症0日目です。この日は“症状が始まった日”としてカウントし、翌日が1日目になります。

日数の扱い 内容
発熱した日 0日目
翌日 1日目
発症後5日を経過 発熱日+5日休む(6日目以降に登校可能)

例えば「月曜日に発熱した場合」、日〜金の6日間は登校できず、最短で翌週の月曜日から登校可能となります。

解熱日の「0日目」からのカウント方法

“解熱”とは、解熱剤を使わずに1日中平熱で過ごせた日を指します。
その日が「解熱0日目」、翌日が「解熱1日目」です。
たとえば、金曜日に1日平熱だった場合は金曜が解熱0日目、土曜が解熱1日目となり、年齢によって必要な日数を経過させてから登校・登園します。

解熱剤を使用した場合に注意すべき点

解熱剤で一時的に熱が下がっただけの状態は「解熱」とはみなしません。 薬の効果が切れた後も平熱で過ごせて初めて“解熱0日目”になります。解熱剤による一時的な解熱をカウントしてしまうと、感染力が残ったまま登校させてしまう恐れがあります。
このため、解熱後の経過日数を数える際は、「薬なし」で「平熱が続いたか」を必ず確認することが大切です。

年齢で違う登校・登園再開の基準:小学生と幼児の違い

インフルエンザの出席停止期間は「発症後5日」と「解熱後の経過日数」という2つの条件で決まりますが、このうち 「解熱後の必要日数」だけは年齢によって違いがあります。 小学生と幼児で基準が異なる理由を知っておくことで、園や学校からの指示も理解しやすくなり、登園・登校の判断がよりスムーズになります。

小学生・中高生は「解熱後2日」になる理由

小学生以上では、咳エチケットを守ったり、ある程度マスクをつけて過ごしたりできるようになるため、周囲への飛沫感染のリスクが幼児と比べて低くなります。そのため基準は解熱後「2日」に設定されています。また、体調の自己管理がある程度できるようになる年齢でもあり、登校再開後の活動にも比較的慣れやすいのが特徴です。

幼稚園児・保育園児は「解熱後3日」が必要な理由

幼児は、マスクができなかったり、友達との距離が近かったりするため、どうしても感染を広げやすい環境にあります。さらに、手洗いが不十分なことも多く、大人よりウイルスが広がりやすいのが実際です。このため、幼児は解熱後「3日」と、小学生よりも1日長く設定されています。これは“念のため”ではなく、実際の感染リスクや生活習慣を考慮した合理的な基準です。

年齢差による感染リスクと生活習慣の違い

年齢が低いほど、周囲との距離が近く、生活の中でウイルスを広げやすい動作が多くなります。たとえば、咳や鼻水を手で触ったあと、机やおもちゃを触ることは日常的です。また、幼いほど体力の回復にも時間がかかるため、解熱後すぐの登園は負担になりがちです。こうした年齢差を踏まえた基準が設けられていることで、園全体の感染拡大を防ぐ仕組みになっています。

ケース別で理解する「最短で行ける日」

出席停止期間の基準は分かったものの、「具体的に何日に行けるの?」という疑問は多くの保護者の方から寄せられます。発症日・解熱日・年齢の3つの要素が重なるため、実際のスケジュールをイメージしづらいのがその理由です。ここでは、よくあるケースを例に「最短で登校・登園できる日」をわかりやすく整理します。お子さんの状況にあわせて確認できるよう、小児科医の視点からポイントをまとめました。

月曜日に発症した場合の例(最短パターン)

まずは最も相談の多い「月曜に発症」のケースです。
発熱した日が0日目となり、ここから「発症後5日」をカウントします。

月曜:発症0日目
火曜:1日目
水曜:2日目
木曜:3日目
金曜:4日目
土曜:5日目(ここで“発症後5日”が経過)

そのうえで「解熱後の日数」を満たしている必要があります。
例えば金曜に薬を使わず平熱に戻った場合、最短で登校できるのは翌週の月曜日です。

発熱が長引いた場合のスケジュール

熱が長引いた場合は「発症後5日」と「解熱後2日(幼児は3日)」のうち、遅い方を優先して復帰日が決まります。

例:
木曜日まで熱が続き、金曜に解熱した場合
発症後5日は土曜日で達成
解熱後2日は日曜・月曜
→ 最短で火曜日に登校可能
このように、解熱が遅い場合は自然と登校再開が後ろにずれる仕組みです。

兄弟がいる家庭で気をつけたい感染管理

兄弟のいる家庭では、1人が回復に向かう時期にもう1人が発症する“連鎖”が起こりやすくなります。
次の点を意識すると、家庭内感染を抑えやすくなります。

  • 解熱した子どものタオル・寝具は早めに洗濯する
  • 食卓やドアノブはこまめに拭き取り(アルコール or 次亜塩素酸ナトリウム)
  • 回復期でも咳が残る場合はマスク着用を習慣に
  • 兄弟間での食器やペットボトルの共有を避ける

完全に防ぐことは難しいですが、家庭内の動線を少し工夫するだけでも感染の広がりを大きく減らせます。

登校再開前のチェックポイントと家庭でのサポート

出席停止期間の条件を満たしていても、子どもの体調が十分に戻っていなければ、無理をさせてしまうことになります。特にインフルエンザ後は体力が落ちていることが多く、登校直後に疲れてしまうケースもよく見られます。
ここでは、再開前に保護者の方が確認しておきたいポイントと、家庭でできるサポートをわかりやすくまとめました。登校再開がスムーズにいくよう、体調と生活リズムの両方を整えてあげましょう。

朝の検温・食欲・活動量など体調確認のコツ

登校前の朝は、次の3つを必ずチェックしましょう。

  • 朝の検温:平熱で整っているか
  • 食欲:普段通りの量が食べられるか
  • 活動量:朝の準備をいつも通りこなせるか

これらが揃っていれば、体調が回復して学校生活にも無理なく戻れるサインになります。逆に、熱がなくても「食欲がない」「すぐに横になってしまう」場合は、もう1日休ませるのも安全な選択です。

無理をさせない休ませ方

インフルエンザ後は、体調が戻りつつあっても、急な活動で疲れやすい時期です。回復期には次のような休ませ方がおすすめです。
・昼寝をしても問題なし
・入浴は短め・ぬるめで負担を軽く
・外遊びや長時間の動画視聴は控えめに

こうした工夫により、体力を無理なく戻すことができます。

園や学校で必要な書類(登園許可証・治癒証明など)の確認

園や学校によっては、登園許可証(治癒証明)が必要な場合があります。一方、保護者が記入する「インフルエンザ経過報告書」でよい施設もあります。
事前に通っている園・学校のルールを確認しておくと、復帰当日に慌てずに済みます。
オンライン診療では、登園許可証の発行に対応している医療機関もあるため、受診のハードルが下がり、スムーズな登園・登校につながります。


よくある質問

  • Q熱が下がれば、発症後5日を待たずに登校できますか?

    Aできません。発症した日(0日目)から最低5日間は感染力が残っているため、解熱していても登校できません。「発症後5日」と「解熱後2日(幼児は3日)」の両方を満たす必要があります。

  • Q解熱剤で一時的に熱が下がった場合は「解熱後」として数えてよい?

    Aカウントできません。薬の効果で下がった熱は“真の解熱”ではありません。薬を使わずに1日中平熱で過ごせた日が「解熱0日目」です。

  • Q幼児はどうして1日長く休む必要があるの?

    A幼児は咳エチケットが難しく、距離も近く遊ぶため、感染を広げやすい環境にあります。このため、幼児のみ「解熱後3日」が必要とされています。

  • Q発症から日数が経っているのにまだ熱があります。復帰日はどうなる?

    A復帰日は「発症後5日」と「解熱後の必要日数」のうち、遅い方で決まります。熱が長引いた場合は、自然に復帰日が後ろにずれる仕組みです。

  • Q登校再開当日の朝に少しだるそうです。行かせても大丈夫?

    A日数の条件を満たしていても、体力が落ちている時期は無理をさせないことが大切です。食欲や活動量が明らかに戻っていない場合は、もう1日休ませるのが安心です。

  • Qインフルエンザの治癒証明はどの医療機関でも書いてもらえる?

    A医療機関によって対応が異なります。オンライン診療で発行できるところもあるため、園や学校の書式とあわせて事前に確認しておくとスムーズです。

  • Q家族にうつさないために、家庭でできることは?

    Aタオルの共有を避ける、ドアノブ・テーブルを定期的に拭く、食事・飲み物の共有をしないなど、普段の生活動線を整えるだけでも感染拡大を抑えられます。

  • Q元気に見えるけれど、軽い咳が残っています。登校してもいい?

    A咳が残っていても、発症・解熱の基準を満たしていれば登校可能です。ただし、咳エチケットができる年齢ならマスクの着用を習慣にしましょう。

  • Q兄弟は元気ですが、登校させても問題ありませんか?

    A兄弟がインフルエンザにかかった場合でも、本人に症状がなければ登校できます。ただし、朝の検温や体調観察は丁寧に行い、少しでも異変があれば早めに休ませましょう。

  • Q次の週の行事に間に合わせたい…日数を短くする方法は?

    A出席停止期間は法律で決まっており、短縮はできません。無理をすると本人の体調悪化や周囲への感染につながるため、焦らず回復を優先しましょう。


まとめ

インフルエンザにかかったお子さんが学校・園を何日休むべきかは、「発症後5日」と「解熱後の必要日数」という2つの条件で決まっています。発熱や解熱の日を“0日目”として数えるルールを理解すると、登校・登園可能な日が明確になります。さらに、小学生は解熱後2日、幼児は3日と年齢によって基準が異なる点も大切です。
これは、子ども同士の距離の近さや咳エチケットの難しさといった、園や学校の日常を踏まえた合理的な仕組みです。

また、復帰前には朝の検温、食欲、活動量などをチェックし、体力がしっかり戻っているかを確認しましょう。熱が下がっていても、体調が万全でないと登校後に疲れが出やすく、無理がかかってしまうことがあります。家庭内での感染対策として、タオルの共有を避けたり、ドアノブや机をこまめに拭いたりする小さな工夫も効果的です。保護者の方が正しい知識を持って対応できれば、お子さんを安心して学校生活に戻してあげられます。

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監修
先生 風間 尚子
風間 尚子先生
小児科専門医
現在、日本赤十字社医療センター非常勤医・ミル訪問クリニック・吉原医院に勤務。小児科専門医、PALS(小児二次救命処置)インストラクターとして救急対応にも精通。

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