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2024.01.16
みてねコールドクター通信

<みてねコールドクター通信> 感染性胃腸炎について

拡大中の感染性胃腸炎について、よくある質問にお答えします

小児科専門医 風間先生が解説

新型コロナウイルス感染症も落ち着きをみせる一方で、昨年は子供たちの間ではさまざまな感染症が同時に流行をしました。秋から年末にかけてインフルエンザは4年ぶりの大流行。また年末年始に胃腸炎も多く見られました。特に急な嘔吐の症状は対応に苦慮される親御さんも多いのではないでしょうか。胃腸炎対応のよくある質問にお答えします。

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感染性胃腸炎とは?

感染性胃腸炎とはその多くがウイルスによって引き起こされます。
感染力が非常に強く、周囲の人にも感染させることがあるため、注意が必要です。

代表的な原因となる病原体は、ノロウイルス、ロタウイルスなどです。

なかでも、ウイルス性の胃腸炎としてよく知られているのが「ノロウイルス」ではないでしょうか。ノロウイルスは、熱やアルコールに対する抵抗力があり、一度かかっても何度も感染します。ロタウイルスは、ほぼすべての子どもが4~5歳までに感染し、初めてかかったときに重症化しやすいという特徴があります。しかし、任意接種ではありますが、ロタウイルスワクチンを接種することにより、感染者が減少傾向にあり、感染しても軽症化につながっています。

どんな症状が出るの?

症状は病原体により異なりますが、主なものは、吐き気・嘔吐・下痢・発熱・腹痛です。
潜伏期間は1~3日程度で、完全に回復するまでは1週間程度かかります。

ノロウイルスによる胃腸炎では急激な吐き気や嘔吐、下痢などが現れ、激しい腹痛が続くのが特徴です。

ロタウイルスによる胃腸炎では、嘔吐や下痢の症状が強く、脱水になりやすいです。また、白色便も特徴の一つですが、他のウイルスでも白色便になる可能性があります。

感染したらどうする?

もし感染してしまったら、軽度な場合は自宅で安静にし、水分補給をしっかりと行うことが大切です。市販の下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを体外に排出することができなくなり症状が長引く可能性があるので注意しましょう。また、お子さんは症状が重くなることがあるため、医師の診察を受けることをおすすめします。

また、感染性胃腸炎は感染力が非常に強く、周囲の人に感染させないように注意が必要です。ウイルス性胃腸炎の場合は対処法はいずれも同じであるため、覚えておきましょう。

ホームケアのポイント

まずは水分補給をこまめにすることが大切です。嘔吐が激しい場合は1時間ほど待ってから5〜10ml程度の少量の水分をこまめにとりましょう。水分摂取には塩分や糖分の入った経口補水液をお勧めします。
下痢が続いている場合でも、水分補給をこまめに行い、徐々に消化の良い食事を始めましょう。お粥やうどんなどの炭水化物から始め、問題なければ整腸作用のあるりんご、バナナなどの果物、野菜であればキャベツ、大根などを使った料理がおすすめです。
おしっこの量や回数が少ない、色が濃いなどは脱水のサインですので、早めに受診をしましょう。

登園・登校はいつから大丈夫?

感染性胃腸炎には登園・登校の明確な基準はありません。嘔吐がないこと、食事をしてもほどんど下痢をしないことを確認する必要がありますが、症状が治まってから数週間後は便の中にウイルスがいて、他の人に感染する恐れがあるので注意しましょう。

どうやって感染性胃腸炎対策する?

感染性胃腸炎を予防するためには、以下のような予防策を行いましょう。

・手洗いをしっかり行う
・手の消毒はもちろん、おもちゃなども除菌をする
・生食や半生食を避け加熱調理をしっかり行う
・食品を買う前に、賞味期限や保存方法を確認

また、下痢症状の出ている人がいたら、入浴時もシャワーでよく洗ってから入浴する、バスタオルを共有しないなどの工夫が必要です。お子さんなどで、ブロックなどのおもちゃを使うときは、洗えるものは洗うようにしましょう。

教えて!風間先生~感染性胃腸炎について、親御さんからよくある質問にお答えします~

日本赤十字社医療センター 小児科専門医 風間 尚子先生がよくある質問にお答えします。

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Q:同じシーズンに何度も罹ることはありますか?
A:胃腸炎を引き起こすウイルスは数種類あり、さらにその中でも型がいくつかあるため同シーズンに数回罹る可能性があります。

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Q:便が出ず、お腹を痛がっているのですがどうしたら良いでしょうか?
A:腹痛だけでは胃腸炎の症状なのか、便秘の症状なのか見分けが難しい場合があります。流行状況と合わせて医師の診察を受け、適切な処置や処方を受けましょう。

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Q:有効な感染対策はありますか?石鹸で手を洗うだけでも効果がありますか?
A:胃腸炎のウイルスには、アルコール消毒が無効なものもあります。そのため石鹸で手指についたウイルスを洗い流すことはとても大切です。ウイルスが付着していても見た目にはわかりません。特にトイレのドアノブや使用済のおむつなどに触った際にはしっかり石鹸で洗い流しましょう。また下痢症状がある場合には、トイレの蓋を閉めてから流すと良いでしょう。空間に巻き上がったウイルスを吸い込んでしまい感染する(糞口感染)ことを防げます。

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Q:水分補給の際は、冷たい飲料と温かい飲料、どちらが良いですか?
A:氷などが入った過度に冷たい飲み物は胃腸の血流が悪くなりやすく消化不良を引き起こすため、胃腸炎症状がある際は避けましょう。37度の温度が最も消化には良いと考えられているため、ぬるま湯程度の温度が良いでしょう。
とはいえ、経口補水液はぬるいと飲みづらいこともありますよね。冷蔵庫で冷やした程度で、症状が悪化しないようであれば問題なく摂取していただいて良いと思います。

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Q:大人と子どもで、症状に違いがありますか?
A:症状は変わりませんが、お子様の場合には体にしめる水分の割合が多く、脱水に陥りやすいです。そのため少量の水分をこまめに取る必要があります。脱水症状が強い場合には、補液(点滴)が必要になることもあります。

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Q:吐瀉物のついた衣類や布団などはどのようにしたらいいですか?
A:まずは自宅であらかじめ取り除ける嘔吐物などは取りのぞき洗い流すことが重要です。
手袋やマスクなど感染防止のための装備をし、ペーパータオル等で拭き取り洗い流した後、85度以上の熱水か次亜塩素酸ナトリウムで消毒を(特にノロウイルスやは85度以上の熱か次亜塩素酸ナトリウムでないと失活しない)。目に見えなくても、嘔吐物が色々なところについてしまうリスクもあるので衣服を洗った後にはしっかりと手を洗いましょう。
布団の場合は、日光に当ててよく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うこと効果的です。

※石けんを使った手洗いでは、30秒間のもみ洗いと15秒間の流水でのすすぎを複数回繰り返すことが効果的です。2回繰り返すと、ノロウイルスの残存率を約0.0001%まで減らすことができたとする実験結果があります。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認)

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胃腸炎の症状は、急激な嘔吐から始まることが多く、我が子の状態の心配の傍ら、吐瀉物の片付けなどもしなければならず親御さんは困惑することも多いと思います。
嘔吐の症状は24時間以内に改善することがほとんどですが、その間の水分・栄養のとり方がとても大切です。少量の水分(体重x1ml)程度から始めて、2~30分おきに嘔吐がないことを確認しながら増やして様子を見ましょう。嘔吐してしまう場合は1時間ほど待ってから、また少量の水分をトライします。少量の飲水でも嘔吐が持続する場合には、補液(点滴)が必要な場合もあります。脱水の評価も兼ねて医師の診察を受けると良いでしょう。

監修医師のご紹介

日本赤十字社医療センター 小児科専門医 風間 尚子先生
株式会社コールドクター 往診医 兼 小児医療アドバイザー

東邦大学医学部卒業。 
神奈川県立こども医療センターを経て、日本赤十字社医療センター小児科勤務。
AHA PALS(小児二次救命処置)インストラクター資格保持。

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※1 医師の判断により、ご自宅へ伺わずに医療機関を紹介する場合もあります。
※2 薬の種類によっては、その場で処方できない場合もあります。
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